CrystalCPUIDを使ったCPUの電圧設定

[ 2013 / 12 / 14 ]

CrystalCPUIDを使いCPUの電圧とCPUの周波数を変更します。電圧を下げると温度と消費電力が下がり、周波数を下げると電圧を更に下げることができます。ただしフリーズなどの問題が起きる可能性もあります。

ダウンロードと前準備

ダウンロード

作業に必要なソフトをダウンロードします。

CrystalCPUID

倍率変更に対応したCPUの倍率と電圧を変更します。Crystal Dew Worldから、現在のOSに対応したバージョンをダウンロードします。

CPU-Z

現在のCPUの周波数と電圧の変化の確認に使います。CPU-Z配布サイトからダウンロードできます。ダウンロードのリンクは配布サイト右側のサイドメニューにあります。

CPU-Z動作画面

起動すると最初の画面でCPUの電圧と周波数の確認ができます。周波数や倍率変更時に起動しておけば、現在の値を確認しながら作業ができます。

Prime95

変更したCPUの設定で負荷テストを行い動作確認します。配布サイトの中央辺りにある「Windows 64-bit」や「Windows 32-bit」などのリンクからダウンロードします。

初回起動時に表示されるダイアログは「Just Stress Testing」を選びます。

Prime95起動画面

Prime95が起動したらOKボタンを押すと負荷がかかります。

Prime95通常アイコン Prime95エラーアイコン

通常動作中はアイコンの色が緑で、何か起きて動作が停止すると赤くなります。無理なCPU設定だとそのままフリーズする場合もあります。

Prime95終了

エラーが起きて再起動する時や動作を停止させる場合は、左上の「Test」→「Exit」と押して終了します。

電源オプションの設定と周波数の固定

OSには周波数を負荷に応じて可変させる機能の設定項目があります。自動で変更されると都合が悪いので、この変更幅を固定にして自動変更を止めます。

コントロールパネルから「電源オプション」を開きます。ノートPCの場合「Windowsキー」+「Xキー」を押してバッテリーの項目から開くと楽です。

電源プランの選択 プラン設定の編集

使用する電源プランの「プラン設定の変更」をクリックします。次の画面では「詳細な電源設定の変更」を選びます。この下の「このプランの規定の設定を復元する」を選ぶと、選択中のプランで変更した項目が初期化されます。

周波数の固定

プロセッサの電源管理

「プロセッサの電源管理」のツリーを開いて値の設定を行います。ACアダプタを接続しているので「電源に接続」だけ変更しています。

通常、最小の値から最大の値まで変化しますが、最大最小の値を同じにすれば周波数は固定されます。

CPU-Zの表示を見ながら値を変化させ、そのときの周波数と電圧の値をメモしておくと設定の参考になります。

設定値による周波数の変化例

以下はCore 2 T7300(2GHz)を使った時の変化例です。10%単位なのは1単位でチェックするのが面倒なためです。この環境ではIDAが有効のため、100%時にCPUの上限+1の倍率になっています。

設定倍率周波数電圧
0%x4800MHz0.850V
40%x61200MHz0.938V
60%x81600MHz1.075V
80%x102000MHz1.200V
100%x112200MHz1.288V

設定を変更すると周波数はここで指定した数値固定になります。低い値を設定すると、CrystalCPUIDで設定を変更するまで(OS起動直後など)、低い周波数で動作するため発熱は押さえられますが遅くなります。今回のT7300では60%固定で進める事にします。最終的な値は実際に試しつつ決めるとよいでしょう。

CrystalCPUIDの設定

操作説明

メイン画面

設定画面の入り方

CPUIDを起動したら「File」→「Multiplier Management Setting」を選ぶと、倍率や電圧の設定画面に入ります。

設定画面

この画面で倍率や電圧を変更します。最初は電圧変更が無効になっているので「Enable Voltage」ボタンをクリックすると、電圧の値が変更できるようになります。それぞれ低・中・高負荷の3段階の設定ができます。

タスクバー

タスクバーのアイコン

起動するとタスクバーにアイコンが表示されます。アイコンを左クリックするとメイン画面の開閉、右クリックすると倍率の変更方法を指定できます。

アイコン右クリック時の操作

右クリックメニューで倍率の固定や可変の設定ができます。

設定変更手順

CPU倍率の変更 CPU電圧の変更

同じ行の倍率と電圧をクリックして値を変更します。とりあえず高負荷設定で、最低倍率のx6、適当な電圧の値を指定しました。

CPU倍率電圧変更 CPU-Zの表示

変更をしたら「Apply」か「OK」ボタンを押して設定を反映させます。CPU-Zを起動して、タスクバーのアイコンから高負荷設定で固定すると、表示が指定した倍率になりました。しかし電圧の値が1.200Vから大きく離れています。

固定したのに指定した倍率がすぐ変化する場合は、上で出てきた「電源オプションの設定」を確認してください。

T7300で設定した電圧と実際の電圧

電圧を変更した時の値の一覧です。電圧を確認する時は倍率を最低値にします。高倍率で低電圧にするとPCがフリーズします。設定を変更して保存したら、再びタスクバーのアイコンをクリックして固定設定をクリックすると反映されます。

設定電圧CPU-Zの表示設定電圧CPU-Zの表示設定電圧CPU-Zの表示
0.938V (X)0.850V1.075V0.963V1.212V1.100V
0.950V (X)0.850V1.087V0.975V1.225V1.113V
0.962V (X)0.850V1.100V0.988V1.238V1.125V
0.975V (X)0.863V1.113V1.000V1.250V1.138V
0.987V (X)0.875V1.125V1.013V1.263V1.150V
1.000V (X)0.888V1.138V1.025V1.275V1.163V
1.013V (X)0.900V1.150V1.038V1.288V1.175V
1.025V (X)0.913V1.163V1.050V1.300V1.188V
1.038V (X)0.925V1.175V1.063V1.313V1.200V
1.050V0.938V1.188V1.075V1.325V1.200V
1.063V0.950V1.200V1.088V1.337V1.200V

この表から設定値と実際の値が異なる事、電圧の設定幅に下限上限(0.850~1.200V)がある事が分かります。限界を超えた値を指定しても、上限下限以上の変化はありません。

CPUと電圧の設定幅

  • Core 2 DUO T7300:0.850~1.200V
  • Core 2 Extreme X7900:1.000~1.325V
  • Core 2 Extreme X9000:0.925~1.200V

T7300とX7900は共にThinkPad R61に装着していますが、CPUによって電圧の設定幅が異なります。

Core 2 DUO T7300の最小電圧探し

目的の倍率に固定し、Prime 95で負荷をかけ続けている状態で、電圧の設定を少しずつ下げて反映させていきます。

作業の流れ

最大倍率電圧設定 最大設定を指定

まずは最大倍率のx10と標準電圧の1.313V(1.200V)に設定しました。設定したら右下のOKかApplyボタンを押して設定を反映させます。タスクバーを右クリックして最大設定を指定します。

CPU-Zで確認 Prime 95を実行

CPU-Zで現在の状態を確認しておきます。倍率x10、電圧1.200Vと正しく反映されています。CPU-Zはそのままで、Prime 95を実行したままにします。

電圧を下げる 最大設定を指定

電圧を下げて設定を反映させます。そのあとタスクバーから最大設定を指定します。

下がった電圧を確認

CPU-Zで電圧が下がっているのを確認します。あとは同じ手順で1つずつ電圧を下げていきます。

ブルースクリーン

1.025V(0.913V)でブルースクリーンになりました。電源ボタン長押しでPCを落とし、Windowsを通常起動させて作業を再開します。

下がった電圧を確認

電圧を1.025Vから2つ上の1.050V(0.938V)に変更して、Prime 95を走らせます。1時間エラーが起きずに動作したので、10倍の電圧は1.050V(0.938V)でOKとします。

9倍

9倍は10倍以下の電圧で動作するので1.050V(0.938V)からテストを始めます。

0.962V(0.850V)でブルースクリーンになったので、その2つ上の0.987V(0.875V)で負荷テストを行います。エラーが出ずに1時間経過したのでこの設定でOKとします。

8倍

続けて9倍の0.987V(0.875V)からテスト開始ですが、T7300の設定できる電圧は0.962V(0.850V)までなのでテストの必要はないでしょう。8倍以下は0.850VでOKとします。

最小電圧の確認結果

下記の結果になりました。表を見るとx8以下はさらに低電圧でも動作しそうです。

倍率標準電圧最小電圧
x60.938V0.850V
x70.850V
x81.075V0.850V
x90.875V
x101.200V0.938V

x6のデフォルト電圧と、x10の最小電圧が同じになっており、このT7300はそれだけ余裕を持った設定になっています。

電圧と消費電力

デフォルト電圧と最小電圧に設定し、ワットモニターを使って電力の測定を行いました。「高負荷」はPrime95を実行し始めてから1分間の間で最も高かった値、「アイドル」はPrime95終了直後から30秒の間で最も低かった値です。

デフォルト電圧最小電圧
倍率アイドル高負荷アイドル高負荷
x419.9W30.9W
x620.9W37.3W19.9W35.1W
x719.9W36.8W
x823.2W46.7W20.2W37.9W
x920.3W41.1W
x1025.2W63.7W21.2W43.9W
x1128.1W

電圧差が0.1V弱のx6では電力の差も少ないですが、差が0.3V弱のx10(赤色)は20Wも違っています。

アイドル時の電力も電圧に比例していて、0.850Vと0.875Vの5設定(青色)は周波数が違いながらも差はほとんどありません。

  • 電圧を大きく下げると、電力も大きく下がる
  • アイドル時は周波数の影響がほとんどなく、電圧が全て

となりました。

その他の倍率

x11はIDAによる倍率ですがPrimeを実行するとx10になってしまうため、高負荷の結果は分かりません。アイドル時の電力がやたらと高くなっているのは、電圧が設定できる上限を超えた1.288Vのためです。

x4はSuperLFMによる物ですが、せっかくの低倍率も電圧が0.850Vより下げれないのでいまいち効果がありません。

表まとめ

途中に出てきた表をまとめました。

デフォルト電圧最小電圧
OS設定周波数倍率電圧アイドル高負荷電圧アイドル高負荷
0%0.8GHzx40.850V19.9W30.9W
40%1.2GHzx60.938V20.9W37.3W0.850V19.9W35.1W
1.4GHzx70.850V19.9W36.8W
60%1.6GHzx81.075V23.2W46.7W0.850V20.2W37.9W
1.8GHzx90.875V20.3W41.1W
80%2.0GHzx101.200V25.2W63.7W0.938V21.2W43.9W
100%2.2GHzx111.288V28.1W

T7300の最終的な設定

T7300の最終設定

以上をふまえて画像のような設定にしました。最低電圧ならアイドル時の周波数の影響はわずかなのでMinimumをx8、あとは順当にx9とx10を割り当てました。右下の段階を上げる設定を2段から3段に変更して、これで可変設定で使ってみます。しばらく使ってみて問題がなければ自動起動の設定をします。

自動起動の設定

プロパティ

ショートカットを作ってプロパティを開きます。

オプションの記述

プログラムのパスのあとにオプションを追加します。画像の「/CQ」は周波数の可変モードを有効にした状態で起動し、「/HIDE」は起動時にメイン画面を表示させずにタスクバーへ常駐します。オプションの内容はCrystalCPUID付属のテキストに記述されています。

ショートカットから起動して、動作に問題がなければスタートアップに放り込んで自動起動の環境が整います。

Core 2 Extreme X7900

PCはThinkPad R61を使います。

使用PC

CPUCore 2 Extreme X7900(2.8GHz)
MemoryDDR2-800 4GB
VideoGM965
Monitor15" QXGA(2048 x 1536)
HDD / SSDTHNSNB030GBSJ(SSD 30GB)
UltrabayMK5065GSX(HDD 500GB 5400rpm)
mini PCI-eATH-AR5B95(b/g/n 無線LAN)

上のT7300もこのPCでテストを行っています。

テスト結果

デフォルト電圧最小電圧
OS設定周波数倍率電圧アイドル高負荷電圧アイドル高負荷
0%0.8GHzx41.000V23.1W35.9W
30%1.2GHzx61.100V25.3W45.6W1.000V22.7W40.8W
1.4GHzx71.000V22.9W42.8W
50%1.6GHzx81.163V26.2W57.6W1.000V22.8W44.0W
1.8GHzx91.000V22.9W46.3W
60%2.0GHzx101.213V27.0W69.1W1.000V23.0W47.6W
2.2GHzx111.000V23.1W49.0W
80%2.4GHzx121.275V28.7W83.6W1.013V23.4W53.6W
2.6GHzx131.075V24.7W59.3W
90%2.8GHzx141.325V29.4W97.5W1.150V26.9W67.9W

x14デフォ電圧の消費電力が、普通のノートPCでは無理のある値になっています。

この環境では、x14の負荷テスト中に95℃到達で強制ダウンクロックが起きたため、1.150Vが動作電圧かどうかは不明です。仮に電圧が足りていなくても、その段階に到達する前にダウンクロックするので問題はないでしょう。

X7900の設定例

OSの電源設定 X7900の設定例

OSの設定は30%の1.2GHz固定にしています。アイドル時の消費電力が低周波数と比べて差が少ないx12をminimumに、middleはその1つ上のx13、maximumは最大のx14にしてみました。夏場はmaximumをx12~x13にして発熱を抑えてみるのもありでしょう。

Core 2 Extreme X9000

PCはVGN-SZ74Bを使います。

スペック

CPUCore 2 Extreme X9000(2.8GHz)
MemoryDDR2-800 8GB
VideoGM965
Monitor13.3" WXGA(1280 x 800)
HDD / SSDHTS725050A9A364(HDD 500GB 7200rpm)
SlimbayHN-M101MBB(HDD 1TB 5400rpm)
mini PCI-e3945ABG(a/b/g 無線LAN)

テスト結果

デフォルト電圧最小電圧
OS設定周波数倍率電圧アイドル高負荷電圧アイドル高負荷
0%0.8GHzx40.925V19.4W30.5W
40%1.2GHzx61.000V20.6W37.8W0.925V19.5W35.1W
1.4GHzx70.925V19.3W36.6W
1.5GHzx7.50.925V19.4W38.0W
50%1.6GHzx81.050V21.6W44.6W0.925V19.3W39.2W
1.7GHzx8.50.925V19.5W39.3W
1.8GHzx90.925V19.5W40.2W
1.9GHzx9.50.925V19.5W40.8W
70%2.0GHzx101.100V22.4W52.6W0.925V19.5W40.8W
2.1GHzx10.50.925V20.4W42.5W
2.2GHzx110.925V19.9W43.8W
2.3GHzx11.50.925V19.7W44.4W
80%2.4GHzx121.150V23.2W61.5W0.950V20.3W45.8W
2.5GHzx12.50.975V20.7W47.8W
2.6GHzx131.000V20.9W49.9W
2.7GHzx13.51.038V21.3W53.6W
90%2.8GHzx141.200V23.9W68.9W1.063V21.7W56.8W

x14デフォ電圧は冷却が間に合わずダウンクロックしました。x6.5は設定をするとx6になったのでデータはありません。

同じクロックのX7900よりも低い電圧が設定でき、特に高倍率の消費電力に差が出ています。

X9000の設定例

OSの電源設定 X9000の設定例

OSの設定は70%の2.0GHz固定にしています。アイドルは最小電圧で最大クロックのx11.5、上2つは上位の倍率を入れています。夏場は最大倍率ですぐにダウンクロックしていたのでx11.5で固定していましたが、今回作った表の消費電力を見る限り、もう少し倍率を上げる事はできそうです。

Core 2 Quad Q6600

スペック

CPUCore 2 Quad Q6600(2.4GHz)
MotherGA-G33M-DS2R(G33/ICH9R)
MemoryDDR2-800 16GB(4GB x4)
VideoGMA3100
HDDWD1600HLFS-60G6U2(HDD 160GB 10000rpm)
PowerKRPW-PT600W/92+(600W Platinum)

自作機なのでBIOSから電圧を変更する事もできます。

テスト結果

各倍率の電圧が同じ値なので消費電力の差はあまりありません。この環境のCrystalCPUIDで設定できる電圧は「1.104V~1.264V」とあまり幅がありませんでした。

デフォルト電圧最小電圧
OS設定周波数倍率電圧アイドル高負荷電圧アイドル高負荷
0%1.60GHzx61.072V57.6W100W1.072V57.6W100W
1.86GHzx71.072V57.7W107W
2.16GHzx81.072V57.8W109W
70%2.40GHzx91.216V130W1.072V58.4W113W

電圧はCrystalCPUIDで「1.163V」に設定すると、CPU-Zの表示が「1.104V」になり、Prime95などで負荷をかけると電圧が下がり「1.072V」になりました。表の電圧は負荷時の値です。デスクトップでは負荷時の電圧降下がやや大きめなので気をつける必要があります。

EISTの倍率変更動作で6倍と9倍の2種類しか切り替わりません。OS設定の70%以上で9倍になりますが、上限下限を同じ値にしてもクロックは固定されず、6倍と9倍を行ったり来たりで安定しませんが、Prime95実行時は9倍で固定されます。